重賞見解コラム&回顧コラム
2023/01/05 08:00:00
立川優馬のレース質診断 シンザン記念重賞見解コラム
想定レース質:「内枠・差し」
【今年のねらい馬】
今年のシンザン記念の想定レース質は「内枠・差し」。このレース質で好走する馬キャラは、以下の要素を満たしている馬です。
・デビュー以降、差して好走経験がある馬
・内を突いて差したり、馬群を割ったりした経験がある馬
・1600m戦以上で好走経験がある馬
この条件に合致しそうな候補は、以下の4頭です。
●クルゼイロドスル (差して好走経験あり、1600m戦で好走経験あり)
●サンライズピース(差して好走経験あり、内を差した経験あり、1600m戦以上で好走経験あり)
●トーホウガレオン(差して好走経験あり、1600m戦以上で好走経験あり)
●ミタマ(差して好走経験あり、内を割った経験あり、1600m戦以上で好走経験あり)
あとは枠の並びを確認して内枠に入った馬を本命にする予定です。こうしたレース質と馬キャラ診断になった理由は以下のとおりです。
【レース質想定の理由】
◆コース形態
シンザン記念が実施される中京芝1600mには、以下のような特徴があります。
・引き込み線発走+発走後緩い上りでテンのペースは落ち着きやすいため、基本は先行有利
・コーナー加速が速くなるうえにスパイラルカーブのため、外々を回すと不利になりやすい
・タフな馬場では持続力が求められるので距離短縮ローテが恵まれる
したがって、コースがもつレース質として「内枠・先行・短縮」を基本として、超高速~高速馬場で上がりが出る馬場では差し有利に、内荒れ馬場や内空け馬場では外枠有利かつ差し有利に傾けるなどして調整します。
◆馬場状態
中京芝は2022年の6回開催を前半4日間Aコース→後半2日間Bコースというコースローテで6日間実施しており、今開催は前半8日間Aコース→後半4日間Bコースで行われます。東西金杯が行われる5日は、1か月弱空いてのAコース戻りで、例年、中間に蹄跡補修作業が行われることからもやや時計が回復した内枠有利の馬場になる傾向にあります。
4月からの京都開幕に伴って、昨年までの年間6回開催→年間4回開催になるため、馬場造成は近年の硬めから、従来のやや緩い馬場に戻るかもしれませんが、その影響が出るのは芝の養生時期を越えた3回開催からになりそう。1~2回開催は、近年どおりの馬場やレース質で取って問題ないでしょう。
シンザン記念は世代限定マイル重賞のため、前走で先行して好走している馬が多いのに加え、距離延長ローテの馬も多いのが特徴の一つです。中京芝1600mはテンに緩みやすいコースですがスローになることはなく、テンに大きく緩む京都で行われていたときに比べて時計は2秒近く速くなっているので、持続性能の高い差し脚に加えて、テンの追走力も求められます。そのため、距離延長ローテですんなりとラチ沿い先行した馬が2年連続で勝利しています。
今年のメンバーを見ると、出走16頭のうち、11頭が前走初角5番手以内、8頭が前走初角3番手以内と、例年に比べて先行馬がそろっているので、ペースが流れるとともに、加速地点が早くなってコーナーが最速ラップの3F消耗戦になりそう。そうなると、スパイラルカーブになっている3~4角をいかにタイトに回れるかが重要になってきます。
したがって、内枠に入った馬のうち、前走差す競馬をしている馬で、かつ距離延長ローテで自然と位置が取れる馬や、前走で先行している馬で、かつ距離短縮ローテで自然と差しに回れる馬が恵まれると考えられます。
◆中京のスパイラルカーブの影響力を図る
中京競馬場の3~4角がスパイラルカーブで、コーナー角がきつい形状をしていることは今では周知のことで、芝ダートを問わず3~4角で外々を回すと不利になることはだんだんとオッズにも織り込まれてきています。
では、どのようなときに外枠不利になりやすく、ラチ沿い追走が恵まれやすくなるのでしょうか。例えば、以下のようなときに内外の有利不利が大きくなります。
①時計が速い馬場のとき
②先行馬が多い(ハイペース)になるとき
③レース後半の加速地点が3~4角(残り3F→2F地点目安)になるとき
簡単に言うと、時計やペースが速いときほど内枠有利になりやすく、仕掛けのタイミングが早くなるほど内枠有利になりやすいと考えてOKです。
例えば、中京芝1600mで決着時計が1.33.5以下の高速決着だったときの枠順別成績を見ると以下のようになります。
〈中京芝1600m1分33秒5以下の高速決着時の枠順別成績〉※2020年1月1日~現在
〇1~5枠
勝率9.1% 連対率17.3% 複勝率24.9% 単回値154 複回値73
〇6~8枠
勝率4.4% 連対率10.3% 複勝率17.6% 単回値28 複回値47
明確に外枠不利が出ており、時計が速い馬場やペースが流れる馬場では外枠に人気馬が入るパターンは波乱のサインと言えるでしょう。シンザン記念は2021年が1.33.3、2022年が1.34.1の決着でしたが、今年は仕掛けが遅れた2022年よりは流れるメンバー構成なので、1.33.5前後の決着が想定されるため、強い外枠不利を見るつもりです。
また、距離別に見ていくと、どのような流れになっても加速が残り3F地点から始まることになる1400m以下では特に外枠不利が顕著。さらに、スローの中距離戦でも差し馬の押し上げが早めから始まるので内枠有利になりやすくなります。
年始の中京芝レースはこの辺りに注目して、レース質を判断すると分かりやすくなるのではないでしょうか。

ライター:立川優馬